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2話

「まるで凝った脂のように滑らかで柔らかな肌は、軽く指で触れただけでも驚くほどの弾力があり……」

肖宇が更なる愉悦に浸る間もなく、鋭い悲鳴が天を突き破った。宋傾姿は咄嗟に激しく身をよじり、肖宇の手首を強く押し返した。タクシーは急に蛇行し、道路を外れかけた!

もし肖宇が素早くハンドルを切り返していなければ、車は横を猛スピードで通り過ぎたトラックに轢かれ、鉄くずの山と化していただろう!

九死に一生を得た肖宇は大きく息を吐き、パニック状態の宋傾姿を鋭い眼差しで睨みつけ、怒鳴った。

「ちょっと触っただけだろうが!何もしてねえのに、そんな大げさな反応するなよ!自分を清純な聖女様とでも思ってんのか!」

その真っ赤な瞳に宿る凶暴な光を見て、怒り心頭だった宋傾姿は恐怖で身を縮め、口に出かかった言葉を飲み込んだ。ただ両腕をしっかりと胸の前で組み、美しい瞳に涙を浮かべ、どこか哀れな様子を見せた。

激昂していた肖宇は彼女を平手打ちにしようとしたが、涙ぐむ宋傾姿の姿を見ると、心が不思議と和らいだ。彼が忘れたと思っていた記憶が断片的によみがえり、一瞬で興味を失わせた。深く息を吸い込むと、瞳の赤みは完全に引き、再び不羈な表情に戻り、そこにはどこか慵懒さも混じっていた。

だが、良い気分は台無しになり、肖宇の心は不満で満ちていた。

「売女のくせに貞操のふりをするか。俺はこんなにイケメンなのに、ちょっと触るだけでもダメとはな。くそ、今度は金で黙らせてやるからな!」

宋傾姿はずっと肖宇の豊かで激しい表情の変化を見つめていた。彼の内心は分からなかったが、あの恐ろしい眼差しが徐々に消えていくのを見て、彼女もそっと安堵の息を漏らした。

先ほどの瞬間を思い出し、宋傾姿の体は未だに震えが止まらなかった。あの押し寄せる恐ろしい気迫は、次の瞬間にも彼女を引き裂きかねないほどだった。

しかし誰が信じるだろう、その恐ろしい威圧感が、目の前のこの下品で好色な男から発せられたとは。

「お嬢ちゃん、なんでそんな目で見てるんだ?まだ物足りないのか?」

「この変態!出ていけ!」

にやついた顔が近づいてくるのを見て、宋傾姿は眉を逆立て、憎々しげに怒鳴った。

身体を後ろに引きながら、肖宇の口元の微妙な笑みの変化に気づいた彼女の頬は、突然赤く染まった。

「認めたくないけど、この下品な男、見た目は悪くないわね」

その恥じらいと怒りの入り混じった声は、瞬時に肖宇の意識を過去へと引き戻した。しかし脳裏のその記憶は断片的で、触れようとするたびに鮮血が溢れ出した。その血の色は果てしなく広がり、彼の記憶を浸し、すべての温もりを凍えさせた。

肖宇は激しく頭を振った。苦痛に耐える瞳は一層澄み渡り、その瞬間、彼は隣の美女の存在を忘れ、夜の街の流れる光景だけに集中した。車のスピードが急に上がった!

「きゃあ!」

突然の加速に宋傾姿は思わず目を閉じ、手でドアの取っ手をしっかりと掴み、長く白い脚を精一杯縮めた。かすかに春の陽気が漂う。

肖宇はスピードの快感に浸り、瞳は熱を帯びて輝いていた。

宋傾姿は引き伸ばされた光の筋と後退する街並みが風と共に顔に押し寄せるのを感じた。まるで飛んでいるような疾走感は、彼女の心の中の野性的な熱狂をも呼び覚ました。

彼女は想像したこともなかった。自分がある瞬間、すべての悲しみや憂いを投げ捨てられるなんて!

しかし、すべての興奮と狂喜は必然的に短い。

タイヤの悲鳴のような音と共に車が徐々に停止すると、宋傾姿もまるで空から雲の上から投げ出されたように感じ、心にかすかな喪失感が広がった。

そして次に聞こえた言葉は、彼女をまるで地面に激突させたかのように、恥辱と怒りで彼女を地面の割れ目に潜り込ませたいほどにした!

「白いレース、いいね、すごく魅力的だ」

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