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183話

銀霜はその大きくたくましい背中を見つめながら、肖宇の口にした「彼女」が誰なのかはわからないものの、心の中には羨ましさが満ちていた。

「彼女の成長を見守るか…」

そう呟きながら、銀霜は自分のことを思い出さずにはいられなかった。彼女の成長には、暗い権謀術数と冷たい殺戮しかなかったように思える。

そう考えると、銀霜の瞳の光は急速に暗くなり、肖宇の背中に向かって叫んだ。「話し合う余地はないの?」

肖宇は足を止めず、返事もしなかった。

銀霜は諦めて身を翻し、姿を消した。肖宇は一人で街をゆったりと歩き回り、気がつけば大学のキャンパスに迷い込んでいた。

安然は何か重要なことで忙しいらしく、丸一日姿を見せなか...