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896話

燕京、楊家の大邸宅の書斎にて。

楊暁松は書机に向かい、向かいに座る老人を見つめていた。

老人は南疆からの電話を受けたばかりで、その後数分間、表情が暗く沈んでいた。

楊暁松はお爺さんが何故落ち込んでいるのか分かっていた。あの楊動を偽っていた女のことを惜しんでいるのだ。

もしあの女が年幇の幇主でなく、別の身分、たとえ一般の年幇の構成員であったとしても、間違いなく楊動にとって最高の伴侶になっていただろう。

武芸の腕前は二の次で、より重要なのは彼女の胆識と謀略、そして楊動のためなら何でもする覚悟だった。

こんな一途で有能な女性は、世界中探しても滅多に見つからないだろう。

そんな女性が、最後には味方の裏...