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779話

「灼龙草?」

杨動がそう尋ねると、古蜀王の身体が微かに震え、言葉を詰まらせながら答えた。「あれは神殿の特産である薬草の一つじゃ。巫舎利、忘憂草と並んで三大神草と呼ばれておる。だが、巫舎利が百病を治し、忘憂草が記憶を消せるのに比べ、灼龙草はさほど役に立たぬ」

少し間を置いて、古蜀王は続けた。「千年前、古蜀の植生は乏しく、空気は乾燥して寒かった。冬になると暖を取る薪もなく、皆は灼龙草を用いていた。この草を服用すると、体内で炎が燃え上がるような温かさを感じる。じゃが今となっては、もはや用途がないのじゃ」

杨動の瞳に理解の色が浮かんだ。「なるほど、わかったぞ。体内は熱いのに外界は氷点下、その温度...