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710話

楊動の苛立ちが、エゴールの心を深く刺した。

彼の友人は、ロシアで最も権力を持つ数人の一人であり、大統領の右腕として、ほぼロシア一国の動向を左右する存在なのだ。

それなのに、楊動の態度には一切の敬意が見られない。

エゴールは知らなかった。楊動にとって大物など珍しくもないことを。

老ジョンだって世界経済を左右する風雲児だったが、それでも楊動に怒り心頭に発したではないか。

さらにエゴールが知らないのは、楊動の大伯父が現在の華夏の大長老であり、彼と比べれば、大統領が来ても、それほど威厳は変わらないということだ。

口を開きかけたエゴールは、助けを求めるように古蜀王を見た。その目には「あなたの頑固な師匠...