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501話

薄暗い小さな酒場で、男は隣に座る北部の女と羊乳酒の入った碗を奪い合っていた。

テーブルの表面は汚れており、酒を入れた碗も欠けていた。二週間前であれば、男はこんな場所で酒を飲むことなど絶対になかっただろう。

時折落ちぶれることはあっても、彼は非常に潔癖だったのだ。

北部の女の力は明らかに男よりずっと強く、男は数回もがいただけで、手にしていた古い碗はあっという間に女に奪われてしまった。

酔いに任せた男はすぐに腹を立て、怒鳴った。「離せ!酒を飲むんだ!」

北部の女はバシンと音を立てて碗を床に叩きつけ、男を睨みつけて罵った。「羊乳酒は、本物の男だけが楽しむものよ。あんたみたいな軟弱男には、無駄にす...