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491話

「兄さん、私を国に帰らせるの?で、でもまだちゃんと観光もしてないのに、燕京も開封も見たいのに……」

名乃は焦りを隠せない様子で言った。

葉山永濑は頭を振った。淡々とした口調で「いずれ機会はあるさ」と言った。

唇をきゅっと噛んで、葉山名乃は立ち上がった。腰を折って深々と一礼すると、悔しそうに言った。「兄さん、わかりました。今夜ここを離れます」

葉山永濑も頭を下げて礼を返した。「良い子だ、兄さんを信じて、これは君のためなんだ」

「私も兄さんのためを思って言うの」

葉山名乃は背を向け、葉山永濑に背中を見せながら言った。「お兄さん、もしどうしても続けるつもりなら……ある人を絶対に見くびらないでください...