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398話

「この温和な玉のような男が、ドアから入ってきた瞬間。

彼が現れただけで、その場にいた全ての女性の視線を一斉に引き寄せた。

白いシャツを着た何人かの女性スタッフが、真っ先に彼に向かって急ぎ足で寄ってきて、お盆を差し出しながら甘い声で尋ねた。「葉様、一杯いかがですか?」

万人の注目を浴びる葉様は、こうした立場の低いスタッフたちに対しても、少しも傲慢な態度を見せず、むしろより一層謙虚な姿勢で接していた。女の子たちがあまりにも多く集まってきたため、少し戸惑いの色を見せ、彫刻刀で削ったような整った顔に薄く赤みが差した。

葉様は緊張した様子で手を振りながら断った。「ありがとう、ありがとう。私、その、今夜は...