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330話

袍の袖が楊動に当たった時、彼が避けようともしない姿に古蜀王は声を上げた。「な、なぜ避けないの!?」

「なぜ避ける必要がある!?」

楊動は得意げに哄笑し、手の黒い薄絹を振りながら言った。「お前の負け……」

「お前の負け」という三文字がまだ言い終わらないうちに、楊動はその場で固まってしまった。

黒い薄絹の下に現れたのは、古蜀王の素顔ではなく、恐ろしげな金属の仮面だったからだ!

彼は肋骨を折られる代償を払ってまで、香が消える前に必死に古蜀王の顔の薄絹を引き剥がそうとしたのだ。

すべては意地を張るためだった。

檀香が消えかける最後の瞬間、ついに彼は武功の測り知れないこの古蜀王の顔から黒い薄...