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210話

給仕は林映冰の紫金カードを確認したばかりで、彼女の名前を知っていたため、慌てて言った。「あ、あぁ、林様のお友達でしたか。彼女は屋上バーに行かれましたよ」

「ありがとう」

ショートヘアの少女は給仕に頷いてお礼を言い、足早にエレベーターへと向かった。

給仕は彼女を呼び止めて、会員カードがなければ屋上バーには入れないと注意しようとしたが、考え直した。最高ランクの紫金会員の友人なのだから、屋上に入れないはずがない。そう思い、引き止めるのをやめた。

少女はエレベーターに乗り込むと、ポケットからある仮面を取り出した。

青と赤が混ざり、まるで鬼のような顔をしていた。

林映冰が屋上バーに到着すると...