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1858話

「心妍姉!」

零は鐘心妍が連れ去られそうになるのを見て、歯を食いしばった。

しかし彼女が手を伸ばして鐘心妍を掴もうとした時、鐘心妍は首を横に振り、淡々と言った。「帰りなさい。体を大事にして、子どもを無事に産みなさい。無期をよく諭して、これからは怪我をしても血にあまり触れないように、子どものために徳を積むように言いなさい。もう何も言わなくていい。行きなさい、もう戻ってこないで」

鐘無期は深く息を吸い込み、瞳を数回きらめかせると、零の手を掴んだ。「行こう」

零の目から涙があふれ出したが、何も言葉にできず、ただ肩を震わせるばかりだった。

鐘心妍もついに耐えられなくなり、二人が遠ざかる背中を見つ...