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1760話

燕京の冬は、一度寒くなると容赦がない。

額から流れ落ちた汗も、冷たい風に吹かれるとすぐに消えてしまう。戒心は目尻をピクピクさせながら向かいの慕容顔を見つめ、表情は良くなかった。

慕容顔は身のこなしが非常に優れていた。しかし最も厄介なのは、あの手袋だった。

薄い白い絹の手袋は、防御力こそ高いものの、刀のような殺傷力はないはずで、理論上は戒心との戦いにおいてそれほど役に立つものではないはずだった。

しかし実際には、この手袋の先端、爪の部分には多くの尖った刺が隠されていた。

慕容顔が最初に攻撃した時、戒心の腕に猫の爪のような五本の傷跡を残した。一方の戒心は、手に持つ龍魔錐が一見鋭利そうに見えても、実...