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1265話

紅依が古蜀王にあれほどの敵意を持っていた理由が、今ははっきりとした。

数百年前、古蜀一族が青烏部落全体を滅ぼしたからだ。

そして紅依が寧苗苗にあれほど親しげなのも説明がついた。

紅依を育てた婆さんの、世界でたった二人の親族。一人は紅依で、もう一人が寧苗苗の父親・羅玉巷だったのだ。

世代で言えば、寧苗苗は紅依の姉にあたる。

紅依が寧苗苗に親近感を持つのは当然のことだった。

古蜀王と違って、寧苗苗はまだ冷静さを保っていた。彼女は前から自分の父親が羅玉巷という相当な実力者だと知っていた。

だが、こんなに凄まじい人物だとは思ってもみなかった。数十年前に古蜀に大きな傷跡を残していたとは。

「なるほど、そ...