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1145話

細かな雪片が、はるか彼方まで地面を覆い尽くしていた。

初冬の麦畑には、雪のように白い霜が降りたようだった。

黒駒勝平は林の端まで歩いてきており、二人の男の影もそこから姿を現した。

「楊動?」

黒駒勝平は右側の楊動を見た。

楊動は頷き、表情一つ変えなかった。

黒駒勝平は彼を見つめ、ふと言った。「ありがとう」

「どういたしまして。誰にでも最期の手配をする権利はある。私は死者には特別寛容なんでね」

楊動は静かに言った。「私も君を尊敬している。君は恐らく現代に残された唯一の武士だ。同時に非常に危険な敵でもある。だから手加減はしない」

「ふふ、もちろん手加減など要らん。公平な勝負を望むだけだ」

黒駒勝...