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1104話

「では帰ろうか」

その心妍姉さんが軽く頷き、手早く車の窓を上げた。

運転席の少女も頷いて、エンジンをかけるとそのまま前方へ走り去った。この時、道端にはまだ遠くから撮影しているレポーターたちがいたが、すでに何人かは立ち去り始めていた。

この二人こそ、鐘心妍と彼女を護衛する「零」だった。

もし楊動が華夏特殊部隊の中で最も腕の立つ男性なら、零はおそらく女性の中で最も腕の立つ存在だろう。

数年前、零は九騰龍の選抜に参加していた。当時の楊動はまだ軍隊に入って一年余りの新米兵士で、幼い頃から軍隊で揉まれてきた零とは格が違った。

だが最終的に、九騰龍の選抜が終わると、彼女は選ばれず、落とされてしまった。

そ...