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107話

「なに?」

林映冰は呆然としていた。

杨動は肩をすくめる。「分からなければいいよ。何も言わなかったことにして」

林映冰の可愛らしい顔が、突然赤く染まった。「このエロ野郎——」

彼女のその言葉は罵っているはずなのに、まったく気迫がなく、罵倒の味わいが微塵もなかった。

「はいはい、俺がエロ野郎で、厚顔無恥でいいよ。じゃあね」

杨動は彼女の言葉を遮った。

林映冰は手を上げて彼を阻んだ。「どこに行くの?」

「万里の長城さ」杨動は口をもごもごさせてから言った。「ある彼女のために、俺は一日中走り回ってたんだ。我が国の素晴らしい山河をまだちゃんと見てないんだよ」

「バカね、今頃長城に観光客がいるわけないでし...