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1068話

ハムは決して善人ではない。彼の仕業でメキシコ湾に沈められた死体は、もう二桁に迫っていた。

都市の警視庁トップとして、彼は多くの人間の生死を握っていると言えるだろう。

だがそれゆえに、彼は命の尊さをより知り、自分や家族の命をより大切にするようになっていた。

先ほどの電話は確かに彼を脅かした。七、八本のタバコを吸い終えてようやく冷静さを取り戻し、口元に残忍な笑みを浮かべた。

彼は想像できていた。二十人の精鋭部下たちがあの忌々しい脅迫者を捕まえ、今まさに警察署へ向かっているところを。

ハムにはその自信があった。あとは奴をどう始末すれば気が済むか考えるだけだった。

ブルン、ブルルン……

机の上の携帯が...