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1062話

人は権力を手にする時、多くのものを失う。

ゴメスもそうだった。今の地位に就く前は、勇敢に立ち向かう男だった。腰にガンを差し、相手とカウボーイスタイルの決闘を楽しんだこともある。

だが今や、その血気は失われ、死を恐れるようになった。

これは不思議なことではない。誰であれ彼の立場に置かれれば同じだろう。世界で最も美味な料理を食べ、最高のスタイルを持つ女性と戯れられるのに、誰が死にたいと思うだろうか?

死ねば、すべてが無になる。

ゴメスは死を恐れていた。そしてアガルがウォーカーの並々ならぬ存在に気づいた時、彼もそれを感じ取っていた。

ゴメスはもちろん、並外れた人物に軽々しく関わりたくなかった。警戒心...