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1055話

「何を読んでいるの?」

書斎のドアを開けると、楊動は楊老が一冊の本を読んでいるのを見た。

「唐の歴史書だよ。とても興味深い本だが、書き込まれた注釈がさらに面白い」

楊老は本を閉じ、老眼鏡を外すと、手振りで楊動に座るよう促し、笑いながら言った。「この本は亡くなったあの同志の家から見つかったものでね。彼がとりわけこの本を愛していたことがわかった。ほぼ全ページに注釈が書き込まれているんだ」

亡くなったあの同志とは、黄姗姗の直属の上司、かつての芒種苑の苑主のことだった。

楊動はうなずき、言った。「僕はあまり本を読んだことはないけど、唐朝が兄弟殺し合い、親子殺し合いの、かなり血なまぐさい歴史だということ...