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831話

秦龍は林浩をじっと見つめていた。宙に浮かぶ林浩の気勢は虹のように燃え上がり、饕餮(とうてつ)である楊虎に全く引けを取らない。肉眼で見る限り、林浩には確かに実力があるようだ。しかし、自分が言ったように、楊虎は実力以上の相手と戦っても負けない男だ。今や何十年も力を蓄え、大宗師の境地に達している。その実力の蓄積は林浩のような若者には到底持ち合わせていないものだ……

ただ、事前に和気を乱さないと約束していたからこそ、秦龍はそれほど緊張していなかった。

林浩と君無悔が自ら言ったように、恨みを抱かないでくれることを願うばかりだ。古の牢獄をめぐる争いはもう目前に迫っている。もしここで内輪揉めが起きて、こ...