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618話

彼女は国内ではこういった考え方は通用しないことを知っていた。貴族という概念は何百年も前に途絶えており、残っているのは名門や大家族だけだった。そして大家族の人々も自分たちを貴族とは言わない。どう言えばいいのだろう、以前は王家も沈家も財産に不自由していなかったが、誰も自分を貴族だとは言わなかった。そう言うとなんだか変な感じがするからだ。

国内では貴族という概念に違和感を覚えていたが、海外の貴族と聞くとさほど奇妙には思わなかった。王立庭園とか、女王とか、貴族とか、まるで当たり前のように感じられていた……

ただ、自分には縁がないと思っていたその世界に、なんと娘の夫が現地で認められた貴族になっていた...