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535話

「X」組織の内部中枢会議室では、40歳の壮年男性が中央に座していた。顔一面に生えた顎鬚が特徴的だが、もし彼が悪党の集団の中心に座っていなければ、街で見かけても社会的に成功した中年男性、エリート層の一人だと思われただろう。しかし彼こそが「X」組織の首領、モハメド・カトゥ、トゥールーズ南部の街で名を知られた暴力団のボスであった……

彼の右手には30代前半の小柄な男が座っていた。肩にはサソリの刺青が入っている。彼はブラック・スコーピオン組織のチビ・スコーピオンと呼ばれ、「X」組織に吸収された際の代表者であり、今や「X」組織のナンバー2の地位にいた。

「トゥイテナが死にました」チビ・スコーピオンは...