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479話

「ゴーッ」

林浩はこの瞬間、頭の中で何かが爆発したような衝撃を感じた。反射的に沈惜颜の方を一瞥し、すぐに顔を戻して言った。

「すみません、人違いです。私は林浩ではありません」

そう言うと、林浩は足早に出口へ向かった。

だが一歩踏み出した途端、沈惜颜がベッドから飛び降りた。その動きは非常に素早く、あっという間に林浩の背後から駆け寄り、腰に回した両腕で彼をしっかりと抱きしめた。全身の力を振り絞って離さない。

「行かないで、行かないで、行かないで」

沈惜颜は必死に林浩を抱きしめながら、涙ながらに懇願した。

林浩の体は完全に硬直した。二筋の涙がマスクの上を伝い落ちたが、彼は身動きひとつしなかった。...