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225話

夜の十一時半、二台の黒いメルセデスベンツのワゴン車が紫竹別院の正門に到着した。そのまま中へ入ろうとしたが、門の警備員に制止され、即座に地面からポールが立ち上がった。

一人の警備員が先頭の車に近づき、窓をノックして厳しい表情で車内を見渡した。すると車内には十数人が座っており、一人一人から強い気配を感じた。警備員が車内の人々を見ている間、車内の人々も警備員を見つめていた。

「申し訳ありませんが、紫竹別院のオーナーの許可なく、外部の人間や車両の立ち入りは一切禁止されています」門の警備員はベンツの中の人々に冷たく言った。今、紫竹別院には九州グループの幹部たちが滞在しており、九州グループ社長の妻も住...