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1285話

「ほう?」天老九は眉を吊り上げた。「あの鬣犬どもが、ようやく気付いたか?ふふ、令旗はお前たちに任せる。残りのことはお前たちで処理しろ。奴を足止めするだけでいい。まだ決定的な時ではない。殺さずに済むなら、なるべく手を下すな」

天老九は二枚の黒い令旗を天道宮の弟子に投げ渡すと、風に乗るように軽やかに舞い降り、羽毛のように優雅に着地した。そして一跳びすると、残像となって遠くへ疾走していった。伝説の水上歩行の軽功など比べ物にならないほどの神業だった。

「なんということだ、九掌事の借勢の術がここまで境地に達しているとは!掌事の中でも頭角を現しているに違いない」天道宮の弟子たちはその様子を見て思わず感...