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1264話

林浩は警戒心を抱いて相手を睨みながら、ゆっくりと一歩一歩近づいていった。近づくにつれ、林浩はさらに奇妙な感覚に襲われた。

この人物の気配は虚無のように漂っていて、むしろ仙人のような印象を与えていた。

まったく不思議だ。林浩がどう見ても普通の人物にしか見えず、修行者の様子は微塵も感じられなかった。なのに、その普通さの中に異様さが満ちていた。

「お客さんかい、さあさあ座りな、遠慮するな」がっしりとした老人は林浩を見上げることもなく、手を上げて向かい側に座るよう促した。彼の向かいの砂丘の上から一つの石がゆっくりと浮かび上がってきた。明らかに林浩のための席だった。

林浩の瞳孔が急に縮んだ。くそっ、...