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1202話

「慌てたか?」

氷のように冷たい声が唐突に敖風の頭上で響いた。

敖風はその瞬間、頭が爆発しそうになった。これは、これはどういうことだ?この青衫が自分の頭上に現れていたのに、自分はまったく気づかなかった?そんなはずがない!

「慌てるべきだろう?」青衫は独り言のようにまた言った。

この前後の脈絡のない言葉に、敖風は一瞬混乱した。だが、すぐに恐ろしい事実に気づいた。青衫からはまったく気配が感じられない。まるで普通の人間、いや、死体とほとんど変わらないのだ。

だからこそ、相手が自分の頭上に現れても気づけなかった。

このとき、彼は先ほどの青衫が琴もろとも消滅した光景を思い出し、恐怖に襲われた...