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1196話

敖犬は直接回り道をし、最速で秦冰雨の前に回り込んだ。

龍は本来風に乗るもの、その速さは当然のことながら劣ることはない。敖犬が全力で疾走すると、秦冰雨に追いつき、さらに彼女の前方へと駆け抜けた。

敖犬は追跡する際、かなりの距離を保ちながら近づかなかったため、秦冰雨は危機の存在を感じ取れなかった。

だが秦冰雨は少しも油断できなかった。彼女は逃げなければならない。彼女の居場所は噬魂獣のあの一声で完全に露呈してしまったのだ。

同時に彼女は噬魂獣と別々に逃げるよう命じ、機会があればすぐに身を隠し、彼女の召喚を待つようにした。

しかし今の噬魂獣は少し頑固になっていて、どうしても秦冰雨か...