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984話

聞燕舞の寝室は、あの夜のままの状態で保たれていた。

この女の人格はともかく、彼女が清潔好きで整理整頓を好む人間であることは間違いなかった。

部屋の家具や装飾品、さらには靴棚の靴までもが、きちんと整然と並べられていた。

しかし床には、一枚の毛布が落ちていて、部屋全体の美観を損ねていた。

これはあの夜、聞燕舞が凄まじい叫び声を聞いて何かを察し、慌てて飛び出した際、ベッドから床に引きずり落としたものだった。

半年が経った今、屋敷全体には不快なカビ臭が漂い、聞燕舞の寝室のドアもずっと半開きのままだった。

さて、先ほど一度中を見たばかりの沈岳が、再び入口に立ったとき、なぜか薄い甘い香りを嗅ぎ...