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890話

秦凝心は家族からの命令を受け取ったばかりだった。何としてでも、これから設立される星沈薬業の株式を取得せよ、というものだ。彼女は長い間黙り込んでいた。

「何としてでも」という言葉の意味が何なのか、彼女にはよく分かっていた。

沈岳に説明した通り、任務さえ達成できれば、あの男の一生の愛人になることさえ厭わない。

彼女は名門の出であり、幼い頃から名門というものが利益を重んじ情を捨てるものだと知っていた。そうでなければ、唐の時代に玄武門の変など起こらなかっただろう。

人々が名門のお嬢様は何でも手に入ると羨ましがる一方で、彼女たちがそれに対して払う代償を見落としている。

多くを得て、ただ享受する...