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873話

沈岳はうんざりしていた。

柳初吻と権顕俊の経験を経て、何もかもが上手くいかない気分だった。

そうでなければ、この端正な顔立ちの長身イケメンが、なぜこれほど彼を憎み、今にも絞め殺したいと思うほどなのだろうか?

確かに見覚えのある顔ではあるが、それだけで憎まれる理由にはならないはずだ。

言葉にできないような気分の沈岳は、眉をしかめ、このイケメンを相手にする気も起こらず、二歩下がって駅の出口を見た。柔姉さん母娘を見逃さないようにするためだ。

白い肌のイケメンは、すぐに顔を曇らせ、再び低い声で尋ねた。「沈岳?」

沈岳は眉をひそめ、冷たい声で言った。「俺は今機嫌が悪いんだ。さっさ...