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679話

「まあ、好きにしなさい」

陳琳の拒絶は、男の予想の範囲内だった。

彼は暴力で陳琳を強制することもなく、淡々とそう言うと、ゆっくりと後退した。

彼の姿はだんだんと霞み、灰色の闇の中に消えていった。まるで最初から存在していなかったかのように。

「こんな簡単に行っちゃうの?」

陳琳は不思議に思い、思わずそう呟いた瞬間、心臓が大きく跳ねた。

もしここが街中のどこかであれば、陳琳は男がさっさと立ち去ることを望んだだろう。できれば即死してくれれば最高だった。

しかし今いるのは古墳の中なのだ!

「ここで私を餓死させる気?」

陳琳が不安げにそう考えた時、周囲の暗闇から何かの音が聞こえてきた。...