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629話

本来なら午後2時40分頃に到着するはずだった高速鉄道が、何らかの理由で丸3時間も遅延した。

幸い秦凝心は午後6時から桜花会所で開催される補天石のオークションが、決してその石だけを競売にかけるわけではなく、多くの「添え物」も出品されることをよく理解していた。

あの不思議な補天石は、最後のトリとして競売にかけられるはずだ。

そうでなければ、主催者側の宣伝サイトで今回のオークションの所要時間を3時間と設定するはずがない。

夜9時までに会場に到着さえすれば、秦凝心は補天石の競売に参加できる。

彼女は遅れることを心配していなかったが、先ほど目にしたあの吐き気を催す光景については、どうしても気に...