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628話

秦凝心だったら、抱きかかえられた男に唾液でこんな目に遭わされたら、すぐに吐き出さないまでも、きっと彼を突き飛ばしていただろう。

だが、蘇南音はそうしない。

母親が子供に授乳しているとき、息子が涎を垂らしたからといって責めるだろうか?

むしろ、その小さな頬を摘みながら、可愛い子だと言うだけだ。

沈岳は蘇南音より数歳年下だが、彼女の息子ではない。だが、彼女が本当に息子を持ったとして、この男が息子と母乳を奪い合っても、彼女は少しも不快に思わないだろう。むしろ誇らしく思うはずだ。「ほら、私の男がどれだけ私に夢中なの?」

その誇らしい気持ちから、蘇南音は無意識に沈岳を強く抱きしめ、左手で彼の髪を優しく...