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620話

もし謝柔情が借金するのが、おしゃれな服を買うためとかだったら、五千万どころか、五億だって、現在の資産でかろうじて十億の富豪と言える沈社長も、しばらく考えた末に貸さないと言うだろう。

だが彼女が借金しようとしているのは、補天石を競り落として母親の病気を治すためだ。

水に捨てるようなむだ金を、沈岳が彼女に貸すなんて、頭がおかしくなったとしか思えない。

あの冷たい二文字を聞いた瞬間、謝柔情の心は氷の底に沈んだ。

彼女は夢にも思わなかった。沈岳が、母親を救うために最も金が必要な時に、少しの躊躇もなく、きっぱりと貸さないと言うなんて。

これが、私の好きな男なの?

これが、彼が困っている時に、...