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541話

いくら欧州のバラの評判が悪かろうと、今や彼女は伯爵夫人である。

心の底では、自分をフィリップ家の一員と見なし続けていた。

だからこそ、ソフィアが伝説の優曇王を突然目の当たりにした時、完全に本能に突き動かされ、どさりと地面に跪いたのだ。

事情を知らないローズは、何か大変なことが起きたのかと思い、顔色を変えて、すぐさま額を地面につけて跪き、息さえ殆ど止めていた。

ソファに座った莊純は、何の反応も示さず、ただ静かにソフィアを見つめていた。

どれほどの時が過ぎたのだろう、東の空に夜明けの光が差し込み始めた頃、ソフィアはようやく震える声で哀願した。「ど、どうか偉大なる主よ、フィリップ家をお憐れ...