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446話

誰も自分の目で見なければ、信じられないだろう。壁を這うトカゲのように、天井にぴったりと張り付いている人間がいるなんて。

それは白い布に包まれた少女だった。

あるいは、黒い美しい髪を持つ男性かもしれない。

今のところ、その性別を特定することはできない。顔に手のひらほどの大きさの仮面を付けているからだ。

それは半分の狐面で、漆黒の色をしており、灯りに照らされると妖しい光沢を放っていた。まるで黒い宝石のように。

撮影角度の関係で、その仮面だけが見え、口元や顎は見えなかったが、どうやって天井に張り付いているかは確認できた。

その十本の指には、黒い、まるで精鋼で作られたような指サックが付いて...