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439話

冷静さを取り戻した沈岳は、自分が最低だと思った。

自分が最低でなければ、なぜ蘇南音に傷つけられた後、その怒りの全てを無実の陳琳にぶつけたのだろう?

彼女を人間として見るどころか、まるで手綱の効かない荒馬のように、乱暴に鞭を振るい、広大な草原を思うままに駆け抜け、傷だらけにしたのだ。

しかし陳琳にとっては、蘇南音のような優れた女性をも魅了する沈岳が、大きな屈辱を受け、その怒りを発散する必要があるとき、自分を思い出してくれたことが、最大の認めてもらえた証だった。

それどころか、それは恩恵とさえ感じていた。

夜半を費やして全身全霊をかけて男に尽くし、彼の元気を取り戻す手助けをする...