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397話

柔らかい。

沈岳が不意に沈宝貝の赤い唇に触れた瞬間、電流のように走った感覚だった。

沈宝貝の唇は柔らかいだけでなく、体からは言葉では表せない香りが漂っていた。

それはどんな香りだったのか?

沈岳が最初に嗅いだとき、真っ先に思ったのは体臭だった。

それも特に強烈な種類の。もう半秒吸い込んでいたら、目を白黒させて気絶してしまうほどの。

だが彼がその反応を確かめる間もなく、恐ろしい体臭は一瞬で異香へと変わった。

一口嗅ぐだけで人の心を酔わせ、全身がリラックスし、八万の毛穴が開いたような心地よさで、その香りに酔いしれたくなる。

女の子は香水をつけるのが好きだ。人が喉が渇...