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396話

沈岳が蘇南音を救出しに行った時、林陽に国境で待つよう言いつけていた。

蘇南音の姿が見えないのに、林陽がどうして立ち去れるだろうか?

とはいえ彼女は沈岳を怒らせるのが怖くて、観光地の外でじりじりと待ち続けるしかなく、一秒一秒が永遠のように感じられた。

ようやく天の恵みか、蘇南音の姿を見つけることができ、二人は抱き合って涙を流した後、彼女は涙を拭いて沈岳のことを尋ねた。

林陽には、虎や狼に連れ去られた蘇南音が自力で逃げ出せるとは思えず、きっと沈岳の手柄に違いないと。

「沈岳?」

蘇南音は目を瞬かせ、カジノの方向を見上げて、小さな声で言った。「彼は私を探しに行ったわ」

「え?」

林陽...