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361話

「殺せ!」

荊紅命が黒い刺を掲げ、ゆっくりと荘純の手首に刺そうとした時、その場にいた南越の人々は皆、心の中でそう叫んでいた。

彼らは荘純の恐ろしさを目の当たりにし、これが荊紅命が一撃を加える絶好の機会だと理解していた。高みから見下ろしていた黎小草に至っては、興奮のあまり体を震わせ、唇を強く噛み、両手を握りしめ、掛けていた毛布が滑り落ちて白い肌が露わになったことにも気づかないほどだった。

しかし黎小草を失望させたことに、荊紅命は本当に刺の先端で荘純の腕を軽く刺しただけで、すぐに頭を下げて礼を述べた。

「華夏人は本当に古い考え方ね、こんな良い機会を無駄にするなんて」

黎小草は失望して密か...