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357話

陸称東が西部国境に急行していると知った時、陸天秀は震え上がった。

普段は軍の小さなお姫様として崇められ、何をしても人より優れ、南越軍史上の天才と称えられ、女性として初めて将軍になる可能性を秘めていたとはいえ。

そのことで彼女は有頭になり、傲慢になっていた。この世に自分にできないことはなく、自分が恐れることもないと思い込んでいた。

だが、陸称雄が横死し、陳享がクーデターを起こした後、逃亡中の黎小草が偶然に荊紅命に出会わなかったら、陸家軍は陳家軍に変わり、軍の中の愛娘だった彼女は百パーセント行方不明のまま死んでいただろう——その時になって初めて、陸天秀は自分の実力を知ったのだ。

特に陸称東...