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347話

両手を背中に回し、多くの南越の兵士たちを無視して、淡々とした表情で周囲の環境を眺めているその男を見て、黎元明は即座に相手が誰なのかを悟った。

この男は、姉が危機に瀕した時に手を下し、陳享を殺した少将閣下に違いない。

こんな男だからこそ、多くの殺気立った南越の兵士たちに一人で向き合いながらも、こんなにも動じない表情を保てるのだろう。

手を上げて合図すると、黎元明は足早に歩み寄った。

彼の手の動きに従い、男に向けられていた銃口はすべて移動した。

黎元明は男の前に立ち、探るような口調で尋ねた。「少将閣下ですか?」

「そうだ」

荊紅命も否定せず、尋ねた。「陸夫人はいるか?」

「はい」

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