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235話

叶臨空の心の中で、叢林はただの犬だった。

人が犬に何かをさせれば、それをするだけ。

うまくできるのは当然のこと、できなければ罰を受けるべきもの。

犬として生きるなら、犬としての覚悟が必要だ。まず第一に、主人の命令に無条件で従うこと。どれだけ上手くこなしても、条件など出せない。

だが今、この叢林という犬が、叶少が命令を下した時に、条件を出してきたのだ。

叶臨空は笑った。声色は陰鬱だった。「ふふ、叢林、お前は誰と話しているのか分かっているのか?」

叢林の答えは明確だった。「叶臨空、叶大少と話しています」

「分かっているなら、お前は—」

そこまで言って、叶臨空はようやく理解した。

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