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160話

「谢柔情」という名前が携帯の画面に躍り出た時、林子明はとあるクラブの個室で美女二人を両脇に抱え、あちこち手を這わせながら「くすぐったい、くすぐったい」と大声で叫んでいた。

以前なら谢柔情から電話がかかってきても、どんなに期待していても今のようにはならなかっただろう。だが今は顔色を変え、すぐさま隣の美女に音楽を消すよう合図し、「お嬢さんたち、大少爺に黙れ」と言ってから、やっと電話に出た。

林子明がこんなに大人しくなったのは、谢柔情が自ら彼を探し出し、結婚すると言ってくれたことで、今夜が初六だということを考えるだけで嬉しくてたまらないという理由の他に、もう一つ重要な理由があった。

それは谢柔...