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1116話

宋旌旗の指先が、あの満月を包む衣服に触れようとした瞬間、王美娴は細い腰をくるりと捻り、彼の腕の下から逃げ去った。

残されたのは魅惑的な香りと、くすくすという嬌声だけ。「いたずらっ子、もう嫌だわ」

またこれか。

またこの七文字!

宋旌旗が師母を抱こうとするたび、彼女はまるでドジョウのように滑り抜け、くすくす笑いながらこの七文字を言うのだ。

四年。

丸四年もの間、宋旌旗は同じ動きを繰り返し、同じ結果を得て、同じ七文字を聞かされ続けてきた。

まさか、この謎めいた組織に引き入れられたのは、この七文字を聞くためだけだったのか?

もちろん違う!

もしこの女がいなければ、宋旌旗はとっくに権妍姿と結婚し...