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110話

「着替えるなら着替えれば良いじゃん、俺が出る必要あるの?」

「どうせお前はもう本大爷の許嫁なんだぞ。昨晩はあんなに甘い時間を過ごしたばかりなのに、今さら俺に席を外せだなんて、お前らしくもない気取りだな」

沈岳は少し不満げに言った。

だが結局は彼女の言う通りに、おとなしく部屋を出るしかなかった。

彼が出て行くや否や、展小白はすばやくベッドから飛び起き、服を抱えてバスルームに駆け込んだ。

あの忌々しい匂いが、また込み上げてくる。

落胆の色を浮かべたまま、沈岳は外で丸四十分も待ち続けたが、展小白から入っていいという声は聞こえてこなかった。

彼は別に焦っていなかった。

女性の化粧、女性...