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1076話

ホテルを経営するなら犬を飼わないのは、料理に塩を入れないようなものだ。

特に承平山荘のような郊外の山腹に位置するホテルなら、なおさら犬を飼う必要がある。

一つには番犬として、もう一つは宴会の残り物を処理するためだ。

だが確かに言えるのは、今夜は沈老大の六十歳の誕生祝いという重要な日で、貴賓や来賓がホールに集まっているため、当然小さな犬を自由に入れるわけにはいかない。

この子犬が入ってこられたのは、純粋に庄舞剣のおかげだ。

あるいは、庄舞剣によって間接的に殺されたとも言える……

あの時、庄舞剣が現れて七人のウェイターを次々と殺害した後、山荘全体が大混乱となり、まさに鶏も犬も逃げ惑う状...