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1013話

「どの新幹線でも立ち席はあるものだ。

座席を確保できなかった人たちは、空いている席に一時的に座り、本来の所有者が現れたら譲る。

秦凝心は乗務員の調査を受けていたため、今やっと自分の席に戻ってきたが、そこに老人が座っているのを見ても、特に変だとは思わなかった。ただ切符を軽く振りながら、丁寧に言った。

「おじいさん、すみませんが、こちらは私の席なんです」

彼女の席は、窓側のグリーン車だった。

老人を見かけたとき、彼が隣の空席の乗客で、窓側に誰もいないと思って座っただけだと思っていた。

今、彼女が来たのだから、窓の外を見ていた老人は席を譲るべきだろう。

席を譲る?

くそっ、この太っち...