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1012話

尊老敬愛は華夏民族の伝統美徳である。

沈岳もその道理をよく理解していた。

だからこそ葉太を尊重していたのだが……

問題は、この老いを売り物に小渺をいじめようとする老いぼれは、とても尊敬する気になれなかった。あの男がまた重たい尻を持ち上げ、小渺の上に座ろうとしたのを見た瞬間、沈岳は迷わず思い切り足を蹴り出した。

大きな腹の親父が脂肪のおかげで助かっただけだ。

もし他の人なら、間違いなく骨盤が砕け散っていただろう。ただ犬のように転がっただけで済むはずがない。

車内の乗客全員が、あの大腹の爺さんが年寄りの立場を利用する不埒な老人だと見抜き、怒りを覚えていたが、誰も進み出て干渉...